デジタルイコライザDEQ2496を使ってみた

最近メインのモニター環境の更新が進んでいます。つい数日前オーディオインターフェイスを3代目に更新しました。そして今回イコライザくんも新しいものを買ったので早速使ってみました。

 

ちなみに前まで使っていたのはdbxの215sです。ステレオ15バンドのアナログGEQ。素人耳の所感ですが音の劣化もほぼ感じられず、左右独立でゲインを調整できるためセンター調整にも使える良いイコライザでした。

 

で、今回導入したのが......

 

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ドン! behringerのDEQ2496です。デジタル式のイコライザで、GEQだけでなくフィードバックデストロイヤ、コンプレッサ、リミッタなどの主要なエフェクタを1Uのシャーシに詰め込んだマルチプロセッサとなっています。

 

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本体です。1Uシャーシなので横幅が50cm近くあり、なかなか存在感があります。

 

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リアには様々な端子が並んでいます。左から電源、MIDI x 3、WORD CLOCK、光デジタルIO、XLRデジタルIO、AUX OUT、マイクIN、XLRアナログIO。アナログ入力はADコンバータでデジタル信号に変換してから処理されます。また、DAコンバータも積んでおり、本機のアナログ出力端子から直接アンプやパワードスピーカーに接続することもできます。

 

イコライジングの前に本機のDAコンバータを試すため、そのままアナログ出力を聴いてみました。ソースはRME Digiface USBのS/PDIF光です。スピーカーの出音を聴くのは久しぶりですが、それまで使っていた1万円台のオーディオインターフェイスと比べて滑らかで上品な音のように感じました。これはこれで良いです。

 

さて、イコライザにも色々ありますが僕が本機を選んだ理由は「AUTO EQ」です。これは再生されたピンクノイズを接続したマイクで拾ってその周波数特性を解析し、自動でイコライザのパラメータを調整して目標とする周波数特性に近づけてくれる機能です。この機能を使えば僕の目標とするところの「できる限りフラットな音響特性」を、マイクをつないでピンクノイズを流すだけで実現することができます。

 

早速そのAUTO EQなるものをやってみます。先にパラメトリックイコライザでクソデカい山や谷をお気持ちである程度均しておきました。そしてとりあえず一緒に買った測定用のコンデンサマイクをその辺のケーブルでつなぎ、説明書を見ながらAUTO EQの調整を始めます。すると各フェーダーが自動でにゅ~っと動いてこんな感じで落ち着きました。

 

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調整中にピンクノイズの音色が少しずつ変わっていったのが面白かったです。なお、今回はどこもブーストやカットをしていないフラットな特性をゴールにして調整させていますが、予め設定した任意の特性をゴールとして調整させることができます。バンドごとに調整の対象とするかしないかも選択できます。今回は説明書の勧めに従って100Hz未満のバンドを調整から外しました。

 

この状態でonly my railgunを流します。選曲に深い理由はなく、しいていえばいつも聴いてるから、そしてイントロから既にうるさいので違いが分かりやすそうだったからです。とにかく流すと、イコライジング前と比べて全然音が違っていてひっくり返りました。ヘッドホンで聴く音をそのままスピーカーで聴いているような感じで、いい意味で「マジでクソつまらない音」です。イコライジング前に感じられた暖かみとかがまるで消えています。面白いです。

 

好みの音かどうかはさておき(正直イコライジング前の音の方が好みに近かった)、フラットな特性を是とする部族の生まれなので、これを良しとします。オーディオインターフェイスくんとイコライザくんを更新したので、これで第3世代のモニター環境の構築は一段落ついたつもりです。それではおやすみなさい。

 

 

 

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おまけ。ラックにインストールしたDEQ2496です(2段目)。1つ上の段は先代のdbx 215sで、今は全てのケーブルを抜いてお休みになっています。半年間お疲れ様でした。

 

RME Digiface USB開封記

RME Digiface USBとは? RMEという会社のオーディオインタ―フェイス。オーディオインターフェイスとは? オーディオのインターフェイス

 

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この機種はヘッドホン出力以外のアナログIOを持たず、ADATあるいはS/PDIFの光デジタルIOに全振りしたインターフェイスです。あの大人気学習参考書『キャンベル生物学 原書9版』4冊分もの値打ちがあります。

 

1つのADAT光デジタル端子で最大8チャンネル(ステレオの片方で1チャンネルと数えます)のオーディオフローを扱うことができます。このDigiface USBには入力と出力でそれぞれこの端子が4つずつ装備されているので、ヘッドホンも含めて「32チャンネル入力・34チャンネル出力」のバケモンみたいな編成になっています。どうバケモンかというと、例えばこれ1台で32人が歌っているのを同時に個別録音でき、それらの音源を16台のステレオスピーカーからそれぞれ任意の組み合わせで再生できます。すげ~

 

僕は別に巨大なバンドをやっているわけでも、大量のスピーカーを所有しているわけでもないですが(打ち込み専門のDTMerなのでなんならアナログ入力も滅多に使わない)、

  1. デジタルIOが豊富である
  2. アナログIOを交換・切り替え可能な柔軟なシステムが組める
  3. RME製品への憧れ(RMEインターフェイスの中で一番安い)
  4. 多IN多OUTへのロマン

などの理由からEDIROL SD90、Roland Rubix22に続く3代目のオーディオインターフェイスとして本機種を選定しました。冒頭の写真は、届いた段ボール箱を真っ先に開封して「写真なんか撮ってられねえよ!」と言いながらも、なんとか冷静になって開封前に撮ったものです。今回の「開封の儀」で既に一生分のウキウキを消費しています。

 

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箱の中身です。本体(とゴム脚)、ケーブル、マニュアルが入っています。おまけでシールもついてきます。おでことかに貼るとRMEのブランド力(ちから)で自分の付加価値が何倍にもなることでしょう。

 

実はこの機械、かなり小さいです。最初に使っていたSD90は二段の重箱くらいあって、次に使いだしたRubix22という機種は弁当箱くらいあったのですが、このDIgiface USBはカロリーメイトの箱くらいしかありません。10円玉と比較してもこのサイズ感です。むしろ10円玉の方が大きいくらいです。

 

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USBポートとヘッドホン出力端子の反対側には、このように光デジタル端子がずらりと並んでいます。

 

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ドライバ等をインストールし、早速PCと接続します。とりあえずヘッドホン出力を試聴しました。ちなみにヘッドホンはSONYMDR-7506というド定番です。

 

ヘッドホンでこれほど投資された機械の音を聞くのは初めてですが、やはりかなりフラットな特性であると感じました。特定の周波数帯の音がうるさいといったことが全くなく、安心してモニターできそうです。ハイエンドメーカーの名に恥じない鳥肌が立つような素晴らしい音、というよりはとにかく無個性で「実家のような安心感」が感じられる音といったところでしょうか。

 

そして久しぶりに、初めていいオーディオ機材を手にした人の定番セリフ「今まで聞こえてこなかった音が聞こえた!」を追体験できました。まだ使い始めて間もないですが、RME製品は息が長いようなので大事に使っていきたいですね。

2021年初詣

新年あけましておめでとうございます。

 自宅でカンタン初詣! セットアップ方法を大公開!

 

鳥居

去年伊勢神宮に詣でた際のおみやげです。置きます。

キャンベル生物学

神社の神聖な雰囲気を引き立てます。この書物には他にも重石、枕などの用途があってかなり役立っています。

お賽銭

一般的な五円玉です。もったいないので事後に回収しました。

御神体USBメモリ

昨今は何でもデータ化されます。このUSBメモリには三大神宮それぞれと神社本庁の公式HPが保存されています。日本全国津々浦々の神社に一遍にお参りしたことにできます。

 

それでは今年もどうぞよろしくお願いします。

 

 

1UラックマウントNASを自作する(2)

前回の(1)に引き続いて1UラックマウントNASの自作を進めていきます。「1Uラックマウントとは?」「NASとは?」みたいな説明は前回の記事で簡単にまとめたつもりなので、そちらを参照してください。今回の記事は部品調達の続きから始めます。数週間にわたって進捗があるたびに書き足していっているので、順番にあまり脈絡がなくて読みにくいかもしれません。そのあたりはご了承ください。

 

 

部品調達

引き続き財布と相談しながらコツコツと揃えていきます。最も高額なパーツであるHDDは年明けになりそうです。予算未知数のケースは設計も含めまだまだかかりそうです。折から前回目途すら立っていなかった電源を入手しました。

電源

物は試しと思ってフォームファクタ最優先でこちらの電源を購入しました。EnhanceのFLEX350です。

 1Uラックシャーシに収まりうるサイズってだけでもうありがたいです。ファンの動作音については注文前に一生懸命お祈りしました。

 

起動ディスク(USBメモリ

小型の比較的低容量を探していたのですが、こいつのために秋葉原の電気街を死ぬほど探し回ることになりました。割と簡単に見つかるSan〇isk製のものは値段があまりにも安くて買うのを踏みとどまってしまったからです。

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知らないメーカーだったけどそこそこの値段だったのでこれにしました。小型なので差しっぱなしにしても目立ちません。

 

起動ディスクについて

当初はUSBメモリを使う予定でしたが、USBメモリ自体が起動ディスクとしての信頼性に難があるみたいで、これを100GB程度の低容量SSDに変更します。買っちゃった小型USBメモリくんはいつか必要になることもあるでしょう......

 

小物類

あると便利なものや意匠としてあってほしいものを適当に揃えました。

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左上からなんかケーブルをまとめるやつ、熱収縮チューブ、オレンジLEDx2、LED付スイッチ、スイッチとかLEDの配線をマザーボードに差すための端子です。これらは全部フロントの電源スイッチやらLEDやらとそれらをマザーボードにつなぐ配線のためのものです。導線や抵抗はすでにあるので買ってません。

左上のネジネジチューブ、これでまとめたら嬉しいだろうな~と思って買ったのですが内径が細すぎてまとめられませんでした。無念...... あとLEDもHDDランプ用に買ったのですが、帰ってから家に同じものが大量にストックしてあることを知り、しかも配線の面倒さからHDDランプいらなくねとなったので完全に無駄な買い物でした。でも2本で30円なのでほぼノーダメです。色々あって適当に配線したものがこちらになります(スイッチ側)。

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抵抗を挟むのを忘れていたのであとから付け足しています。スイッチ内部にもあるのかもしれませんが、どのみち明るいLEDは嫌なのでいいでしょう。適当に手に当たった220Ωです。計算も何もしてません。

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これは映像出力用のVGAケーブルです。初期のセットアップ時は流石にモニター画面がないとやっていけない気がするので買いました。僕はモニターを1台しかもっていないので、メインPCのHDMI入力とNASVGA入力を切り替えながらやりくりすることになります。安いケーブルにしたら両脇のネジがマウント部分に引っかかってロクに締められませんでした。チクショー!

 ケースのフロントに付ける取っ手です。かなり前に購入してあったのですが、紹介する機会を逃していたのでここで報告します。ラックからNAS本体を引き抜くときに必須な気がするので買っておきました。ネジ付きで超ありがたいです。

 

マザーボード起動実験

以上でマザーボードに電源を入れることができるようになりました。こういうのは待っていられないタイプなので、早速配線してスイッチを入れてみます! そのとき(冷静になってから)ツイートしたやつがあるので見てみましょう。

 というわけで、自作PCに電源を入れるのは初めてだったのですが、爆発とかしなくて安心しました。ツイートした内容以外で気になったことがあって、電源LEDの接触が悪くてチカチカしていたことです。案の定断線していたので修理したのちグルーガンで†処理†しました。

 はんだ付けの根元で断線(金属疲労?)する問題、これよりいい解決策があったら教えてください。

 

OSインストール準備

FreeNASだと思っていたものがTrueNASという名前に変わっていました。前まで使っていたUSBメモリを引っ張り出し、この記事に従ってインストールメディアを作成しました。インストールはHDDを買ってからと思っています。

  

それから......(部品調達の続き)

CPUヒートシンク&24ピンL字アダプタ

秋葉原でそこそこ大きめのヒートシンクと両面テープを調達してきたので、早速取り付けてみました。両面テープをヒートシンクに貼り付けるときに気泡が若干入ってしまったのが少々残念です。

 そして24ピン電源ケーブルのL字変換アダプタも入手し、高さがはみ出す問題も解決しました。ただ、マザーボードと電源ユニットの配置によってはここからさらに電源ケーブルを延長する必要が出てきそうです。

 

拡張USB端子

USB端子2つをPCIスロットに増設できる延長ケーブルを入手しました。金具を外してフロントに取り付けます。これらのフロントアクセス端子はセットアップ時などに使うと思われるマウスとキーボード用です。

 

交換・増設用静音ファン

先のマザーボード起動実験の段で述べたように電源ユニット付属の40mmファンの音が気になったので、これを交換するべく同じ口径で一番静かそうなものを探して入手しました。アイネックスの究極静音タイプです。電源ユニット用とさらにもう1つ使う可能性があり、こういうものはいくつあっても困らないだろうとも思ったので念のため2つ購入しました。3つ買っても良かったのですがキリがないのでここは2つで手を打っておきます。

 

 

 

......みたいな感じで少しずつ部品を買い足していったら年末になりました。あとはSSD、HDD、ラックシャーシですかね。多趣味な人間なのでなかなか予算をやりくりするのが大変ですが、年度内には稼働できるようにぼちぼちやっていきたいです。これからもよろしくお願いします。

 

よいお年を~

 

 

全人類今すぐDTM始めろ記事

全人類今すぐDTM始めろ!

 

DTMって何

パソコンで音楽を作ること。パソコンで音楽を作れ!

 

必要なものは?

  • 気合い
  • パソコン

 

ソフトはどうするの?

DAWと呼ばれるDTMソフトを用意する。MacならGarageBandを使っとく。Windowsなら「DAW 無料」で検索して適当にインストール。おすすめ記事の上の方に出てくるようなメジャーなやつを使っとけば間違いない

 

お金を使いたいなら

好きなものに投資せよ!

有料DAW

無料のやつで物足りなくなったら早めに買う。学生ならアカデミック版といって安く買えるものも。ハードと比べてソフトは慣れるまで大変だから早めに買っとく

オーディオインターフェイス

PCのオーディオ処理を肩代わりしてくれる機器。最初は1万程度のもので十分。音質が良くなって音が聞き取りやすくなる。DAWのライセンスがついてくるものも多い

モニタースピーカー

音が聞き取りやすくなる。とりあえずペアでオーディオインターフェイスと同じくらいの予算でいいんじゃないすか

モニターヘッドホン

音がもっと聞き取りやすくなる。僕は持ってないけど

キーボード

 音を鳴らしたり打ち込んだりするのが楽になる。そういう用途なら3,4オクターブで十分で、安いものは1万円を越えない 

ソフトウェア音源

ちゃんとお金を出せば音のクオリティが全然違う。もうDAW付属の音源使えなくなっちゃうねえ

エフェクトプラグイン

たくさん揃えて、好みで使い分けろ!

 

人類の言い訳

時間がないよ

そのまま一生何も始めずに死んでいくつもりなのか?

高くて買えないよ

バイトと節制をがんばる。ソフトウェアに関しては10万が1万!みたいなIQ3セールをやることがあるので、情報を集めまくって安いときに買う。ハードウェアはあまり安くならないので、安い店で買う。アホみたいにポイントが貯まる店もあるからうまく活用する。学生なら学割がないか常にチェックする

音楽分かんないよ

みんな分かんねえよ ドよりレの方が高くね?くらい分かれば十分だろ いきなり作曲は難しいので、好きな曲を誰かが採譜したものをネットからありがたく拾ってきて、その通りに打ち込んで遊ぶといい。一生遊んで終わるのもいい

五線譜読めないよ

基本的に線と丸しかないから調べればいける

コード理論分かんないよ

僕も知らないんだよな

曲が浮かばないよ

好きな曲を聴きまくれ!

 

1UラックマウントNASを自作する(1)

はじめに

この記事はGUTアドベントカレンダー2020に参加しています。他の参加記事もぜひご覧になってください。

一応自己紹介もしておきます。よこといって、大学生です。DTMを中心とした電子創作やプラモデル作り、CHUNITHMという音楽ゲームなどを趣味とします。近況だと最近観始めた「とある科学の超電磁砲」というアニメのOPを歌っているfripSideに興味を持ちました。おすすめの曲があったら教えてください。こちらからは機動戦艦ナデシコというアニメをおすすめしておきます(レールガンもfripSideも関係ないです)。

 

目次

 

きっかけ(NASとは?)

僕は普段メインPCのバックアップ(イメージファイル)をPC内に増設した2TBの内蔵HDDに保存しています。しかしこの「PC筐体内のストレージにバックアップも保存する」というやり方はバックアップとして万全ではなく、本来ならPC外のストレージに保存するのがより適切です。そこでUSB接続の外付けHDDを購入するか、今使っているHDDを外付け化することを考えたのですが、手持ちできるようなHDDは絶対に落として壊すという先入観があるため、いっそNASを用意してそこに保存しようという話に(自分の中で)なりました。ここでNASについて簡単に説明すると、Network Attached Storageの略称である通り、ネットワークに接続されたストレージのことで、同じネットワーク内の複数マシン間のデータのやり取りなどが劇的に便利になります。詳しくはこちらの説明などを参照されると良いでしょう。製品版のNASが様々なメーカーから出回っていますが、後学のため自作しようと思い立ちました。PC関係の自作は初めてです。とりあえず適当に「NAS 自作」とかで検索してみたところ、多くの記事がヒットしました(これらの記事の紹介は割愛します)。そこから得た情報をまとめると、

  • ハードは基本的に低スペックPC+HDDでよさそう
  • OSはFreeNASなどが使え、例えばFreeNASならUSBメモリからでも起動できる

という印象でした。というわけで価格.comPC自作などを参考にパーツを物色して少しずつ揃え始めました。なにせ初めてなので一気に全て注文することは避け、少しずつ買い揃えては規格が合うことを確認しているところです。

 

ラックマウントって何?

 「NASは分かったけど1Uラックマウントって何」という方も多いと思います。ラックマウントとは、規格で定められた幅(19インチ、すなわち約48cmなど)を持つサーバーやオーディオ機器を専用の棚にまとめて固定できる仕組みのことです。1Uはそれらの機器の高さの最小単位であり、例えばEIAという規格だと1.75インチ(約4.5cm)と決まっています。大型の機器はこの高さに収まらないので2U, 3U......と厚みを増していきます。これら高さ整数Uの機器群を例えば8U分の固定フレームを持ったラックにマウントしていくわけです。今回自作するNASが従うEIA規格の詳細については、こちらに記載されています。

僕はDTMをやる関係で既にEIAラックマウントのオーディオ機器及び6Uラックを所有しているので、今回のNASも1Uラックマウント型で作りそこにマウントして運用することにしました。あえて1Uにこだわるのは高さと幅が1:10以上ある扁平感がたまらなくかっこいいからです。

 

パーツ構成

 始めに決まっている内容について列挙します。まだパーツ集めの段階であり、組み立てはほとんどやっていません。パーツ選定のうえで最も注意すべきは、「高さが1Uに収まること」です。外板の厚みを考慮して内高を41mm以内に収めたいです。マザーボードのリアパネル端子群、CPUファン、メモリ、電源ユニットの高さに注意を払う必要があります。肝心のHDDについては、3.5インチHDDでも収まるのでとりあえず安心です。2台重ねるとオーバーします。

  • CPU(+グラフィック):intel Celeron G4930(購入済み)
  • M/B:MSI H310M PRO-VDH PLUS(購入済み)
  • RAM:8GB(購入済み)
  • 起動ディスク:8GB以上の小型USBメモリ
  • HDD:3.5インチHDD(WD Red)最大3台程度
  • 電源:未定(300W程度)
  • その他:3mLANケーブル(購入済み)

 

CPUとマザーボード

 ソケットの規格が合うことを確認済みだったので最初にまとめて注文しました。このマザーボードにはSATAポートが4つあるので、HDDを最大4台接続できるはずです。CPUにはかなりデカいCPUクーラーが付属していました。取り付けると確実に41mmをオーバーするので最初からあきらめています。負荷をかけるような運用はしないので、お豆腐みたいなヒートシンクで許してくれんかな....というお気持ちです。

 

メモリ

マザーボードにメモリをセットすると高さが41mmを超えるのではないか? 商品画像を見て低そうなものを選び、お祈りしながら注文し、そして届きました。お祈りのリザルトをツイートしています。

 ありがとう。信じてたよ......

ちなみにマザーボードのリアパネル端子群の高さが馬鹿にならず、最も高いところだと使いもしないオーディオ端子が3階建てになっていて、こちらもかなりギリギリでした。マザーボードのオマケでリアパネルが付属しているのを後日発見しましたが、これは当然アウトです。SATAケーブルがついていたのは嬉しかったです。

  

起動ディスク

OSとして使う予定であるFreeNASはUSBメモリからでも起動できるらしく、予算節約のためありがたくそうさせてもらいます。ただし胴体の長いものを後ろに差しておくと何かの拍子に抜けたり折れたりしそうで怖いので、ほとんどUSB端子だけやん!笑みたいな小型のものを使うことにします。OSインストールは先の話なので、選定や購入はまだやっていません。

 

HDD

NASにおいて一番肝心なHDDです。僕が個人的に信頼しているWestern Digital社からNAS向けに最適化されたRedシリーズが各容量ラインナップされているので、特に他社・他シリーズの検討をすることもなくこれに決めました。現状ではとりあえず4TBを1台用意し適当にパーティションして運用する予定です。筐体内に2,3台分の空きスペースを用意しておき、必要に応じて増設できるようにしておきます。HDDを筐体に固定する方法は未定です。

 

電源

現状で目途が立っていない唯一の構成です。最小寸法が41mm以内の電源ユニットは数が少ないようです。低スペック機なので電源容量は低くていいのですが、せっかくCPUをファンレスにするので電源もファンレスにして完全ファンレス化を....と目論んでいます。しかしそれはACアダプタタイプの電源にしないと困難なようです。とりあえず高さが40.5mmのファン付き電源ユニットは出回っているので、それを積んで様子を見ようかな..となっています。オーディオ環境にこだわりがある身なので、部屋に音の出る機械をなるべくなら置きたくないのです。

 

ケース

本機の最大の特徴である1Uラックマウントケースですが、内高41mmのアルミ筐体を実現するためには自作..は無理なので外注かな、となっています。しかし予算がないです。CPUをファンレスにするのもあって熱環境がどれほどになるかも未知数です。そのためケースの設計と発注はケース以外の部品を全て揃えて試験運用をしてから行います。試験運用は最近買ったこの1Uトレイの上で行う予定です。こちら、ラックマウント可能な棚板となっております。

 

次回予告

電源ユニットとUSBメモリが入手できればとりあえずOSをインストールして起動することはできます。実際にHDDを接続して試験運用を行い、CPUの温度がどれくらいになるか、ファンやHDDの作動音は許容範囲かなどを検討することになると思います。

よこハウス11/9現在の音楽再生環境

 ......と友人に聞かれたので答えます。まず現状の再生システムについて電源から末端のスピーカーまで順番に紹介していきます。その後で部屋全体の環境について音響的な工夫点を紹介します。多分この友人はここまで詳細な説明を求めてないと思いますが、せっかくの機会なのでつぶさに書きます。写真の画質が全体的に悪いのを残念に思っています。

  

 

0.概略

主要な機器の配線図です。電源は省略しています。

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1.電源

音響機器と、それと電気的に接続される機器(すなわちPC周辺機器全て)は全て1か所の壁コンセントから電源を取っています。個人的に雷が怖いので雷サージ対策を穴ごとに3重に施しています。過剰防衛だと思いますが、こういうのは好きなのでついついやってしまいたくなります。

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写真に写っているのは壁コンセントと雷防御第一段階の3口タップです。養生テープは埃避けです。帰省などで長期間部屋を開けるときや雷が鳴っているときなど以外は差しっぱなしにしています。画像は割愛しますが、この2つの3口タップからそれぞれ雷サージ対応の6穴テーブルタップ(雷防御第二段階)が伸びています。そのうち1穴ずつは雷ガード(最終防衛ライン)を差してあるので、合計10穴使えます。雷ガードに近い方からなるべく最悪壊れてもいい順になるように各種機器のプラグを接続してあります。

集合住宅なので、アースはつないでいません。機器のアース線同士の接続もやってません。また、音響機器の電源は片方のテーブルタップに集約しています。以上の(雷以外の)電源周りの接続は記事最後で紹介している文献を大いに参考にしました。

 

 

2.PC

無駄にメモリを64GBも積んでいます。OSはWindows10で、CPUをAMD Ryzen7 3700Xにしているのですが、Windows対応でもAMD製のCPUでの動作を保証していないオーディオインターフェイスとかがたまに存在するのを知ってちょっと後悔しています。CDプレイヤー等は使っていないので、音楽はCDも含めて全てこのPC上で再生しています。このPCからは49鍵のMIDIキーボードとオーディオインターフェイスがつながっています。MIDIキーボードから先は何も繋がっておらず、再生上も関係ないので説明を省略します。ちなみに開口部には換気扇フィルタを貼って埃の進入をある程度防いでいます。

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3.オーディオインターフェイス

まず、オーディオインターフェイスとは何かについて簡単に説明します。一言でいえばPCに接続するサウンドボードです。内蔵型のものもありますが、多くはUSBケーブルでPCと接続する外付け型になっています。PCにもともとついているサウンドボードに代わって、D/A変換などのオーディオに関する処理を担当します。D/A変換とは音楽のデジタルデータをアナログの電気信号に変換することで、このD/A変換の品質が再生音質を左右します。1万円程度の安いモデルであってもPC付属のサウンドボードよりは音質が良くなると言われており、検索すると入門者向けのおすすめオーディオインターフェイス記事などがいくらでもヒットします。また、オーディオインターフェイスにはマイクやギターなどの音をミックスしたり録音したりといった、音楽制作上重要な機能も搭載されています。人によってはこちらの方が重要な点かもしれません。とりあえず僕はこれらの特徴を総合してオーディオインターフェイスを「外付けサウンドボード」とらえているわけです。

 現在僕が使っているオーディオインターフェイスSteinbergのUR22Cというもので、1万円台で買えるエントリーモデルです。現在PCから伝送されるデジタルオーディオデータはここでアナログ信号に変換しています。ちょっと前までRoland Rubix22というほぼ同程度のモデルを使用していたのですが、訳があって最近高校同期が買ったこのUR22Cと交換して使わせてもらっています。両者の音質の違いは耳がバカなので正直分かりませんでした......

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入力がと出力が2チャンネルあり、入力にはマイクを1本差しています。マイクは2000円台の安いダイナミックマイクで、型番などは省略します。オンライン授業でしゃべるときに使っています。出力は1系統のステレオとして後述のグラフィックイコライザに接続しています。これの接続ケーブルは、1本2000円台のTRS-XLRオスのバランス接続を採用しています。店頭で買ったので型番とか値段は全部忘れました。

並行した2本のケーブルは導体リングを形成し、多分誘導起電力によるノイズの原因となります。そのため2本をねじって囲む面積を最小にしています。ねじってあることで裏表が入れ替わるので、いい感じに打ち消しあっていてほしいです。ねじるのが最適かどうかは電磁気学の知識に乏しいのでよく分かりません。詳しい人がいたら教えてください。

 

 

4.グラフィックイコライザ

グラフィックイコライザとは、入力の波形信号に対して予め決められた周波数帯の成分の量を任意に増減して出力する機器ないしソフトウェアです。僕が使っているdbxの215sはアナログ信号に対してこの処理を行う機器で、2チャンネル15バンドのものです。すなわち、2つのチャンネルに対して15種類の予め決められた周波数成分の量を増減することができます。そのためフェーダーが30個ついています。

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何やら宙に浮いているようにも見えますが、両端をラックにネジ止めして固定しています。また、板ではなくて奥行が10cm少々あります。19インチラックマウントとかいって、ネジ穴の幅が19インチ(48センチくらい)に決まっているこのような規格の機器は、専用のラックに固定することができます。ネットサーフィンする限りオーディオ機器とサーバーに見られます。先ほど紹介したオーディオインターフェイスにもこのラックマウントに対応した形状のものがあります。メチャメチャ扁平でかっこいいです。

さて、このdbx 215sに何をやらせているかというと、大きく3つあります。こうやって挙げてみるとこの再生系で一番仕事をしている気がしてきました。

1つ目は、部屋の音響特性やスピーカーの周波数特性に合わせた補正です。可聴域の全周波数帯において等しい音量を持つホワイトノイズという雑音を再生してマイクで録り、その周波数スペクトルを見ながらフェーダーを動かして調整を行う......のですが、マイクが安物だし、間違えてスペクトルが右肩下がりで調整しづらいピンクノイズでやってしまったので、現状では無意味な調整になってしまっています。でも正直違いがよく分からないしフェーダーの位置にバラつきがあると見た目が嬉しいので放置しています。

この周波数特性の調整は、デジタル出力を備えたミドルエンドのオーディオインターフェイス、より自由度の高い調整が可能なデジタルイコライザ、信頼できるRTAコンデンサマイクの3つが揃ったときにもう一度挑戦します。この調整で本当はかなり音が変わるらしいので楽しみにしています。

2つ目は、聴覚補正です。数か月前にたまたま耳鼻科にお世話になったときの聴力検査によると、自分の聴覚には高域ほどほく聞こえている(低域の聴力があまり良くない)という周波数特性があることが分かりました。そのため高い周波数の音を適当に削ってより健常な聴覚で聴いたときの音に近づけようとしています。

3つ目は、左右のスピーカーの音量バランスの調整です。ステレオの各チャンネルごとに音量を調節できる箇所はこのdbx 215sのINPUT GAINつまみと各スピーカーの音量つまみしかありません。前者の方がはるかに細かく調節できるので、後者は左右で同じ値にしておきこちらで調整しています。モノラル音源が2つのスピーカーのちょうど真ん中から聞こえてくるように片方のつまみをコリコリと回していきます。

このdbx 215sの出力の先にやっとスピーカーが接続されます。ケーブルには2mのXLRケーブルを採用しています。カラーリングは航空機や船舶の舷灯にならってLを赤、Rを緑にしてみました。

 CANAREのEC02Bです。1本2000円しない代物ですがまあいいでしょう。

 

 

5.スピーカー

 いよいよスピーカーです。パワードスピーカーなのでアンプは不要です。

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原音になるべく忠実に再生することに特化したモニタースピーカーの定番として有名な、JBLの305P MkIIです。スイートスポットと呼ばれる「音がいい感じに聴こえる空間領域」が広いことが特徴だそうです。モニタースピーカーという種類自体には周波数特性が平坦である(作為的な重低音強化みたいなことをしていない)、音像定位がはっきりとしているなどの特徴があるみたいです。ちなみに定番だから買ったのではなく、定番で安くなっていたので買いました。1本1万円ちょっとです。後ろにフィルタースイッチが2つくらいありますが、特に何もせずデフォルトのままにしてあります。サブウーファーはありません。

スピーカーの設置について、水平位置だと頭部とスピーカーが正三角形になるように置き、スピーカーが両方とも30度内側を向くように置くのが良いと言われています。高さは耳とツイーター(スピーカーの上半分にあるより小さい振動子)が同じになるようにするのがいいとどこかで見ました。普通に座ったときにこれらの条件がうまく達成されるように位置合わせをしてあります。壁からある程度離して置くべきという話も見かけましたが、配置的に難しいので見送っています。

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また、それぞれのスピーカーはインシュレータという振動を吸収するための小道具と、位置決めも兼ねている木板とゴム板を張り合わせたものを介して自作の木製モニター台に乗っかっています。このインシュレータとゴム板のおかげで、下のモニター台は全く振動しません。ちなみに、上にソフビとかプラモとかが乗っかっていますが、特に意味はありません。ただでさえ不足している水平面を有効に活用した結果です。

このスピーカー、1本5kgくらいあるのでモニターと合わせてモニター台にかなりの荷重がかかっていることになります。実際中央が6%たわんでいます。割れたりヒビが入ったりしないように毎日お祈りをしています。

 

 

6.部屋全体について

スピーカーは空気の振動を励起し、部屋の中に様々な振動モードの定在波を生じさせます。また、壁や家具などから反射した音は直接くる音より遅れて耳に到達します。これらを完全に取り除く必要はないのですが、リスニングポイントにおける周波数特性に大きく影響する因子は取り除くに越したことはありません。僕はとりあえず、明らかに音を反射しまくりそうな鉄製のドアに吸音材っぽいものを貼ったり壁際に物をたくさん配置したりすることで、音の吸収や散乱に一役買わせたつもりになっています。また、窓ガラスもドアと同じく音を反射しまくりそうなので、カーテンは昼間もずっと閉めています。この辺の対策は実際どれほど効果があるのかよく分かりませんが、本やインターネットを参考にしながらできることは何でもやってみています。

 

 

7.今後の展望

引っ越しが遠くはないので、スピーカーなどの巨大な機器を買い替えるようなことはあまりしたくないです。先にちょっと書いたようにオーディオインターフェイスとイコライザ周りをもう少しなんとかしてやるのが予算的にも現実的な方針だと思っています。また、電源に交流安定化電源を導入するのをやってみたい気持ちがありますが、予算が莫大になるので当分かないっこありません。いずれにせよ音楽制作を趣味にしているという関係上、自分の好みの音を追求することよりも原音をいかに忠実に再現するかを優先して心を砕いていくという方向性がぶれることはないと思います。予算の問題とも一生戦い続けると思います。

 

 

8.参考にしている文献

読んだ本を何冊もピックアップするのはめんどくさいので、特に人におすすめしたい一冊を紹介します。実際この一冊で足りています。

 岡野邦彦:その常識は本当か これだけは知っておきたい 実用オーディオ学, コロナ社 (2019)

オーディオ愛好家でもある慶応大学理工学部の先生が、室内音響を中心にオーディオを楽しむための様々な工夫を科学的に説明された本です。電源の接続、機器同士の配線などはこの本の内容を大いに参考にしてセッティングしました。理系の総合読み物としても面白く、少なくともわざわざこんな記事を読むような人には絶対におすすめできます。