グリッドマンでサポートメカが最初から投入されない理由

ウルトラマン公式YouTubeチャンネルで「電光超人グリッドマン」が毎週1話ずつ2週間限定公開で配信されている。全39話の作品で、今日時点でもう30話まで公開されているので、ほとんど終わりかけだ。この「電光超人グリッドマン」は、様々な電子機器の内部にある「コンピューターワールド」で暴れ回る怪獣を、中学生3人組が自分たちで組んだPCから有線でグリッドマンを送り込んでやっつける話だ。

 

さて、このグリッドマンでは「サポートメカ」と呼ばれる、グリッドマンの戦闘を支援するメカがいくつか登場し、怪獣退治に大活躍している。物語中盤からはこのサポートメカの存在が必要不可欠になっており、ほぼ毎回登場している。しかしこのサポートメカ、グリッドマンがかなりのピンチにならないと送り込まれない。僕は毎週グリッドマンと怪獣との熱いバトルを見ていて、「最初からサポートメカを送れば、もっと簡単に怪獣を倒せるのではないか」と考えた。まさか、3人組がいつもサポートメカの存在を忘れているわけがあるまい。なぜグリッドマンが絶体絶命のピンチに追い込まれないと、サポートメカを送り込む判断が下りないのか? それは、ちょっと考えれば分かる話だった。

 

まず大前提として、「サポートメカを送り込むのにコストがかかる」ということを認めたい。劇中では明示的に描写されていないが、恐らくそうなのだろう。例えば、なんとかエージェントのグリッドマンとは違って、中学生が自作したプログラムにすぎないサポートメカは、データサイズの最適化がうまく行われておらず、送り込むたびに通信回線に大きな負荷がかかる、という点だ。当時のコンピューター事情がよく分からないので何とも言えないが、あれだけ精巧なメカニックのデータを戦闘に追従できるスピードで伝達するのには相当な苦労があったと思われる。

 

これを踏まえて、サポートメカがなかなか送り込まれない理由を考察する。答えの鍵となるのは、「放送されていないグリッドマンと怪獣のバトル」の存在だ。というのも、もし怪獣が週1回だけ決まってどこかのコンピューターワールドに出現するのなら、その日だけインターネットの監視を強化するなどの対策が可能になる。きっと、放送されている39回よりもずっと多くの回数、すなわち週1回よりもずっと多い頻度でグリッドマンは怪獣と戦っている。そしてほとんどの場合、グリッドマンはサポートメカを必要とするまでもなく怪獣を倒しているはずだ。同年代に放送された「ウルトラマンティガ」においても、ウルトラマンに頼らず人類の手だけで怪獣を倒している「日常」の存在が示唆されている。

 

グリッドマンと怪獣の戦闘の多くがグリッドマンの圧勝で終わる場合、サポートメカを最初から送るのはコストの無駄遣いになってしまう。怪獣がやたら強くてグリッドマンが相当に苦しめられている場合のみ、その都度判断してサポートメカを送っているので、僕たちが普段見ているような「ピンチになったらサポートメカが登場する展開」が成立するのである。

 

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