スタンチューブを作る

スタンチューブとは

隔壁を貫通する回転軸を防水する方法の1つであると僕は認識しています。例えば艦船模型をラジコン化したとして、遊んでいるうちにスクリュー軸の穴から模型内部に水が入ってくると困ります。かといってモーターごと模型の外に取り付けるわけにはいきません。そこで、スクリュー軸を油が詰まった管に通しておき、この管に隔壁を貫通させることで隔壁内を防水します。この管がスタンチューブです。スクリュー軸は固定されたスタンチューブの中で回転します。

これが今回製作したスタンチューブです。この記事ではその製作過程を紹介します。

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作る目的

今月末に開催される水中ロボットコンペティション in JAMSTEC 2021に小型AUVを出します。推進器については、淡水に対して防水性のあるブラシレスモーターを機体の外部に取り付けるため、機械的な構造に対しての防水は必要ありません。しかし、舵を動かすサーボモーターは機体の防水区画の内部に取り付けるため、操舵軸が機体の外に出る部分で防水処理を行う必要があります。その防水にスタンチューブを用いることとし、今回の記事で作成しました。作成方法はこの動画を全面的に参考にしました。

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用意したもの

材料はこの2つです。軸受け部品はチューブ1本あたりの個数です。

  • 内径3mmの真鍮パイプ
  • タミヤ「低摩擦プラローラーセット」の軸受け部品2個

真鍮パイプはホームセンターで入手しました。「低摩擦プラローラーセット」は下の写真のような状態で販売されています。秋葉原のラジコン専門店で入手しました。トリミングのため画質が悪くなっていて、すみません。

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使用した工具類は以下の通りです。パイプカッター以外は自明な工具ばかりです。

  • パイプカッター
  • 3mmドリル
  • 半田ごて付け一式(こて、こて台、はんだ、フラックス、吸い取り線)

 

製作

パイプ部分の長さを40mmとしました。パイプカッターで切断します。

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切断箇所で内側に向かってバリが出たため、穴の口が狭くなってしまいました。3mmのドリルで穴を広げ直しました。パイプの両端に「低摩擦プラローラーセット」の軸受け部品を嵌めます。

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軸受け部品の差し込み部分の外径とパイプの内径が同じなので、ぴったりと嵌まります。この先の作業のため、パイプをテープで固定します。

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ただ嵌めただけでは軸受け部品がスルスルと抜けてしまうので、パイプと半田付けします。はんだを流し込むため、軸受け部品とパイプの間に僅かな隙間を設けておき、フラックスを垂らしました。かくして半田付けを行います。

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余分なはんだを吸い取り線で吸い取って形を整え、スタンチューブの完成です。2本作りました。

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軸受け部品の内径が2mmで、パイプの内径が3mmです。径2mmのシャフトを通すことができます。チューブの中に厚さ0.5mmの筒状の空洞ができます。この空洞にグリスを充填しておけば、スタンチューブとして機能します。

今回製作したスタンチューブを開発中のAUVに組み込むのはもう少し先の話なので、とりあえず今回の作業はこの辺りで止めておきます。このスタンチューブの防水性能を評価するのももう少し先になります。