全人類今すぐDTM始めろ記事

全人類今すぐDTM始めろ!

 

DTMって何

パソコンで音楽を作ること。パソコンで音楽を作れ!

 

必要なものは?

  • 気合い
  • パソコン

 

ソフトはどうするの?

DAWと呼ばれるDTMソフトを用意する。MacならGarageBandを使っとく。Windowsなら「DAW 無料」で検索して適当にインストール。おすすめ記事の上の方に出てくるようなメジャーなやつを使っとけば間違いない

 

お金を使いたいなら

好きなものに投資せよ!

有料DAW

無料のやつで物足りなくなったら早めに買う。学生ならアカデミック版といって安く買えるものも。ハードと比べてソフトは慣れるまで大変だから早めに買っとく

オーディオインターフェイス

PCのオーディオ処理を肩代わりしてくれる機器。最初は1万程度のもので十分。音質が良くなって音が聞き取りやすくなる。DAWのライセンスがついてくるものも多い

モニタースピーカー

音が聞き取りやすくなる。とりあえずペアでオーディオインターフェイスと同じくらいの予算でいいんじゃないすか

モニターヘッドホン

音がもっと聞き取りやすくなる。僕は持ってないけど

キーボード

 音を鳴らしたり打ち込んだりするのが楽になる。そういう用途なら3,4オクターブで十分で、安いものは1万円を越えない 

ソフトウェア音源

ちゃんとお金を出せば音のクオリティが全然違う。もうDAW付属の音源使えなくなっちゃうねえ

エフェクトプラグイン

たくさん揃えて、好みで使い分けろ!

 

人類の言い訳

時間がないよ

そのまま一生何も始めずに死んでいくつもりなのか?

高くて買えないよ

バイトと節制をがんばる。ソフトウェアに関しては10万が1万!みたいなIQ3セールをやることがあるので、情報を集めまくって安いときに買う。ハードウェアはあまり安くならないので、安い店で買う。アホみたいにポイントが貯まる店もあるからうまく活用する。学生なら学割がないか常にチェックする

音楽分かんないよ

みんな分かんねえよ ドよりレの方が高くね?くらい分かれば十分だろ いきなり作曲は難しいので、好きな曲を誰かが採譜したものをネットからありがたく拾ってきて、その通りに打ち込んで遊ぶといい。一生遊んで終わるのもいい

五線譜読めないよ

基本的に線と丸しかないから調べればいける

コード理論分かんないよ

僕も知らないんだよな

曲が浮かばないよ

好きな曲を聴きまくれ!

 

1UラックマウントNASを自作する(1)

はじめに

この記事はGUTアドベントカレンダー2020に参加しています。他の参加記事もぜひご覧になってください。

一応自己紹介もしておきます。よこといって、大学生です。DTMを中心とした電子創作やプラモデル作り、CHUNITHMという音楽ゲームなどを趣味とします。近況だと最近観始めた「とある科学の超電磁砲」というアニメのOPを歌っているfripSideに興味を持ちました。おすすめの曲があったら教えてください。こちらからは機動戦艦ナデシコというアニメをおすすめしておきます(レールガンもfripSideも関係ないです)。

 

目次

 

きっかけ(NASとは?)

僕は普段メインPCのバックアップ(イメージファイル)をPC内に増設した2TBの内蔵HDDに保存しています。しかしこの「PC筐体内のストレージにバックアップも保存する」というやり方はバックアップとして万全ではなく、本来ならPC外のストレージに保存するのがより適切です。そこでUSB接続の外付けHDDを購入するか、今使っているHDDを外付け化することを考えたのですが、手持ちできるようなHDDは絶対に落として壊すという先入観があるため、いっそNASを用意してそこに保存しようという話に(自分の中で)なりました。ここでNASについて簡単に説明すると、Network Attached Storageの略称である通り、ネットワークに接続されたストレージのことで、同じネットワーク内の複数マシン間のデータのやり取りなどが劇的に便利になります。詳しくはこちらの説明などを参照されると良いでしょう。製品版のNASが様々なメーカーから出回っていますが、後学のため自作しようと思い立ちました。PC関係の自作は初めてです。とりあえず適当に「NAS 自作」とかで検索してみたところ、多くの記事がヒットしました(これらの記事の紹介は割愛します)。そこから得た情報をまとめると、

  • ハードは基本的に低スペックPC+HDDでよさそう
  • OSはFreeNASなどが使え、例えばFreeNASならUSBメモリからでも起動できる

という印象でした。というわけで価格.comPC自作などを参考にパーツを物色して少しずつ揃え始めました。なにせ初めてなので一気に全て注文することは避け、少しずつ買い揃えては規格が合うことを確認しているところです。

 

ラックマウントって何?

 「NASは分かったけど1Uラックマウントって何」という方も多いと思います。ラックマウントとは、規格で定められた幅(19インチ、すなわち約48cmなど)を持つサーバーやオーディオ機器を専用の棚にまとめて固定できる仕組みのことです。1Uはそれらの機器の高さの最小単位であり、例えばEIAという規格だと1.75インチ(約4.5cm)と決まっています。大型の機器はこの高さに収まらないので2U, 3U......と厚みを増していきます。これら高さ整数Uの機器群を例えば8U分の固定フレームを持ったラックにマウントしていくわけです。今回自作するNASが従うEIA規格の詳細については、こちらに記載されています。

僕はDTMをやる関係で既にEIAラックマウントのオーディオ機器及び6Uラックを所有しているので、今回のNASも1Uラックマウント型で作りそこにマウントして運用することにしました。あえて1Uにこだわるのは高さと幅が1:10以上ある扁平感がたまらなくかっこいいからです。

 

パーツ構成

 始めに決まっている内容について列挙します。まだパーツ集めの段階であり、組み立てはほとんどやっていません。パーツ選定のうえで最も注意すべきは、「高さが1Uに収まること」です。外板の厚みを考慮して内高を41mm以内に収めたいです。マザーボードのリアパネル端子群、CPUファン、メモリ、電源ユニットの高さに注意を払う必要があります。肝心のHDDについては、3.5インチHDDでも収まるのでとりあえず安心です。2台重ねるとオーバーします。

  • CPU(+グラフィック):intel Celeron G4930(購入済み)
  • M/B:MSI H310M PRO-VDH PLUS(購入済み)
  • RAM:8GB(購入済み)
  • 起動ディスク:8GB以上の小型USBメモリ
  • HDD:3.5インチHDD(WD Red)最大3台程度
  • 電源:未定(300W程度)
  • その他:3mLANケーブル(購入済み)

 

CPUとマザーボード

 ソケットの規格が合うことを確認済みだったので最初にまとめて注文しました。このマザーボードにはSATAポートが4つあるので、HDDを最大4台接続できるはずです。CPUにはかなりデカいCPUクーラーが付属していました。取り付けると確実に41mmをオーバーするので最初からあきらめています。負荷をかけるような運用はしないので、お豆腐みたいなヒートシンクで許してくれんかな....というお気持ちです。

 

メモリ

マザーボードにメモリをセットすると高さが41mmを超えるのではないか? 商品画像を見て低そうなものを選び、お祈りしながら注文し、そして届きました。お祈りのリザルトをツイートしています。

 ありがとう。信じてたよ......

ちなみにマザーボードのリアパネル端子群の高さが馬鹿にならず、最も高いところだと使いもしないオーディオ端子が3階建てになっていて、こちらもかなりギリギリでした。マザーボードのオマケでリアパネルが付属しているのを後日発見しましたが、これは当然アウトです。SATAケーブルがついていたのは嬉しかったです。

  

起動ディスク

OSとして使う予定であるFreeNASはUSBメモリからでも起動できるらしく、予算節約のためありがたくそうさせてもらいます。ただし胴体の長いものを後ろに差しておくと何かの拍子に抜けたり折れたりしそうで怖いので、ほとんどUSB端子だけやん!笑みたいな小型のものを使うことにします。OSインストールは先の話なので、選定や購入はまだやっていません。

 

HDD

NASにおいて一番肝心なHDDです。僕が個人的に信頼しているWestern Digital社からNAS向けに最適化されたRedシリーズが各容量ラインナップされているので、特に他社・他シリーズの検討をすることもなくこれに決めました。現状ではとりあえず4TBを1台用意し適当にパーティションして運用する予定です。筐体内に2,3台分の空きスペースを用意しておき、必要に応じて増設できるようにしておきます。HDDを筐体に固定する方法は未定です。

 

電源

現状で目途が立っていない唯一の構成です。最小寸法が41mm以内の電源ユニットは数が少ないようです。低スペック機なので電源容量は低くていいのですが、せっかくCPUをファンレスにするので電源もファンレスにして完全ファンレス化を....と目論んでいます。しかしそれはACアダプタタイプの電源にしないと困難なようです。とりあえず高さが40.5mmのファン付き電源ユニットは出回っているので、それを積んで様子を見ようかな..となっています。オーディオ環境にこだわりがある身なので、部屋に音の出る機械をなるべくなら置きたくないのです。

 

ケース

本機の最大の特徴である1Uラックマウントケースですが、内高41mmのアルミ筐体を実現するためには自作..は無理なので外注かな、となっています。しかし予算がないです。CPUをファンレスにするのもあって熱環境がどれほどになるかも未知数です。そのためケースの設計と発注はケース以外の部品を全て揃えて試験運用をしてから行います。試験運用は最近買ったこの1Uトレイの上で行う予定です。こちら、ラックマウント可能な棚板となっております。

 

次回予告

電源ユニットとUSBメモリが入手できればとりあえずOSをインストールして起動することはできます。実際にHDDを接続して試験運用を行い、CPUの温度がどれくらいになるか、ファンやHDDの作動音は許容範囲かなどを検討することになると思います。

よこハウス11/9現在の音楽再生環境

 ......と友人に聞かれたので答えます。まず現状の再生システムについて電源から末端のスピーカーまで順番に紹介していきます。その後で部屋全体の環境について音響的な工夫点を紹介します。多分この友人はここまで詳細な説明を求めてないと思いますが、せっかくの機会なのでつぶさに書きます。写真の画質が全体的に悪いのを残念に思っています。

  

 

0.概略

主要な機器の配線図です。電源は省略しています。

f:id:dolyplpl:20201109210251j:plain



1.電源

音響機器と、それと電気的に接続される機器(すなわちPC周辺機器全て)は全て1か所の壁コンセントから電源を取っています。個人的に雷が怖いので雷サージ対策を穴ごとに3重に施しています。過剰防衛だと思いますが、こういうのは好きなのでついついやってしまいたくなります。

f:id:dolyplpl:20201109175357j:plain

写真に写っているのは壁コンセントと雷防御第一段階の3口タップです。養生テープは埃避けです。帰省などで長期間部屋を開けるときや雷が鳴っているときなど以外は差しっぱなしにしています。画像は割愛しますが、この2つの3口タップからそれぞれ雷サージ対応の6穴テーブルタップ(雷防御第二段階)が伸びています。そのうち1穴ずつは雷ガード(最終防衛ライン)を差してあるので、合計10穴使えます。雷ガードに近い方からなるべく最悪壊れてもいい順になるように各種機器のプラグを接続してあります。

集合住宅なので、アースはつないでいません。機器のアース線同士の接続もやってません。また、音響機器の電源は片方のテーブルタップに集約しています。以上の(雷以外の)電源周りの接続は記事最後で紹介している文献を大いに参考にしました。

 

 

2.PC

無駄にメモリを64GBも積んでいます。OSはWindows10で、CPUをAMD Ryzen7 3700Xにしているのですが、Windows対応でもAMD製のCPUでの動作を保証していないオーディオインターフェイスとかがたまに存在するのを知ってちょっと後悔しています。CDプレイヤー等は使っていないので、音楽はCDも含めて全てこのPC上で再生しています。このPCからは49鍵のMIDIキーボードとオーディオインターフェイスがつながっています。MIDIキーボードから先は何も繋がっておらず、再生上も関係ないので説明を省略します。ちなみに開口部には換気扇フィルタを貼って埃の進入をある程度防いでいます。

f:id:dolyplpl:20201109182553j:plain

 

 

3.オーディオインターフェイス

まず、オーディオインターフェイスとは何かについて簡単に説明します。一言でいえばPCに接続するサウンドボードです。内蔵型のものもありますが、多くはUSBケーブルでPCと接続する外付け型になっています。PCにもともとついているサウンドボードに代わって、D/A変換などのオーディオに関する処理を担当します。D/A変換とは音楽のデジタルデータをアナログの電気信号に変換することで、このD/A変換の品質が再生音質を左右します。1万円程度の安いモデルであってもPC付属のサウンドボードよりは音質が良くなると言われており、検索すると入門者向けのおすすめオーディオインターフェイス記事などがいくらでもヒットします。また、オーディオインターフェイスにはマイクやギターなどの音をミックスしたり録音したりといった、音楽制作上重要な機能も搭載されています。人によってはこちらの方が重要な点かもしれません。とりあえず僕はこれらの特徴を総合してオーディオインターフェイスを「外付けサウンドボード」とらえているわけです。

 現在僕が使っているオーディオインターフェイスSteinbergのUR22Cというもので、1万円台で買えるエントリーモデルです。現在PCから伝送されるデジタルオーディオデータはここでアナログ信号に変換しています。ちょっと前までRoland Rubix22というほぼ同程度のモデルを使用していたのですが、訳があって最近高校同期が買ったこのUR22Cと交換して使わせてもらっています。両者の音質の違いは耳がバカなので正直分かりませんでした......

f:id:dolyplpl:20201109183951j:plain

入力がと出力が2チャンネルあり、入力にはマイクを1本差しています。マイクは2000円台の安いダイナミックマイクで、型番などは省略します。オンライン授業でしゃべるときに使っています。出力は1系統のステレオとして後述のグラフィックイコライザに接続しています。これの接続ケーブルは、1本2000円台のTRS-XLRオスのバランス接続を採用しています。店頭で買ったので型番とか値段は全部忘れました。

並行した2本のケーブルは導体リングを形成し、多分誘導起電力によるノイズの原因となります。そのため2本をねじって囲む面積を最小にしています。ねじってあることで裏表が入れ替わるので、いい感じに打ち消しあっていてほしいです。ねじるのが最適かどうかは電磁気学の知識に乏しいのでよく分かりません。詳しい人がいたら教えてください。

 

 

4.グラフィックイコライザ

グラフィックイコライザとは、入力の波形信号に対して予め決められた周波数帯の成分の量を任意に増減して出力する機器ないしソフトウェアです。僕が使っているdbxの215sはアナログ信号に対してこの処理を行う機器で、2チャンネル15バンドのものです。すなわち、2つのチャンネルに対して15種類の予め決められた周波数成分の量を増減することができます。そのためフェーダーが30個ついています。

f:id:dolyplpl:20201109190217j:plain

何やら宙に浮いているようにも見えますが、両端をラックにネジ止めして固定しています。また、板ではなくて奥行が10cm少々あります。19インチラックマウントとかいって、ネジ穴の幅が19インチ(48センチくらい)に決まっているこのような規格の機器は、専用のラックに固定することができます。ネットサーフィンする限りオーディオ機器とサーバーに見られます。先ほど紹介したオーディオインターフェイスにもこのラックマウントに対応した形状のものがあります。メチャメチャ扁平でかっこいいです。

さて、このdbx 215sに何をやらせているかというと、大きく3つあります。こうやって挙げてみるとこの再生系で一番仕事をしている気がしてきました。

1つ目は、部屋の音響特性やスピーカーの周波数特性に合わせた補正です。可聴域の全周波数帯において等しい音量を持つホワイトノイズという雑音を再生してマイクで録り、その周波数スペクトルを見ながらフェーダーを動かして調整を行う......のですが、マイクが安物だし、間違えてスペクトルが右肩下がりで調整しづらいピンクノイズでやってしまったので、現状では無意味な調整になってしまっています。でも正直違いがよく分からないしフェーダーの位置にバラつきがあると見た目が嬉しいので放置しています。

この周波数特性の調整は、デジタル出力を備えたミドルエンドのオーディオインターフェイス、より自由度の高い調整が可能なデジタルイコライザ、信頼できるRTAコンデンサマイクの3つが揃ったときにもう一度挑戦します。この調整で本当はかなり音が変わるらしいので楽しみにしています。

2つ目は、聴覚補正です。数か月前にたまたま耳鼻科にお世話になったときの聴力検査によると、自分の聴覚には高域ほどほく聞こえている(低域の聴力があまり良くない)という周波数特性があることが分かりました。そのため高い周波数の音を適当に削ってより健常な聴覚で聴いたときの音に近づけようとしています。

3つ目は、左右のスピーカーの音量バランスの調整です。ステレオの各チャンネルごとに音量を調節できる箇所はこのdbx 215sのINPUT GAINつまみと各スピーカーの音量つまみしかありません。前者の方がはるかに細かく調節できるので、後者は左右で同じ値にしておきこちらで調整しています。モノラル音源が2つのスピーカーのちょうど真ん中から聞こえてくるように片方のつまみをコリコリと回していきます。

このdbx 215sの出力の先にやっとスピーカーが接続されます。ケーブルには2mのXLRケーブルを採用しています。カラーリングは航空機や船舶の舷灯にならってLを赤、Rを緑にしてみました。

 CANAREのEC02Bです。1本2000円しない代物ですがまあいいでしょう。

 

 

5.スピーカー

 いよいよスピーカーです。パワードスピーカーなのでアンプは不要です。

f:id:dolyplpl:20201109194647j:plain

原音になるべく忠実に再生することに特化したモニタースピーカーの定番として有名な、JBLの305P MkIIです。スイートスポットと呼ばれる「音がいい感じに聴こえる空間領域」が広いことが特徴だそうです。モニタースピーカーという種類自体には周波数特性が平坦である(作為的な重低音強化みたいなことをしていない)、音像定位がはっきりとしているなどの特徴があるみたいです。ちなみに定番だから買ったのではなく、定番で安くなっていたので買いました。1本1万円ちょっとです。後ろにフィルタースイッチが2つくらいありますが、特に何もせずデフォルトのままにしてあります。サブウーファーはありません。

スピーカーの設置について、水平位置だと頭部とスピーカーが正三角形になるように置き、スピーカーが両方とも30度内側を向くように置くのが良いと言われています。高さは耳とツイーター(スピーカーの上半分にあるより小さい振動子)が同じになるようにするのがいいとどこかで見ました。普通に座ったときにこれらの条件がうまく達成されるように位置合わせをしてあります。壁からある程度離して置くべきという話も見かけましたが、配置的に難しいので見送っています。

f:id:dolyplpl:20201109194609j:plain

また、それぞれのスピーカーはインシュレータという振動を吸収するための小道具と、位置決めも兼ねている木板とゴム板を張り合わせたものを介して自作の木製モニター台に乗っかっています。このインシュレータとゴム板のおかげで、下のモニター台は全く振動しません。ちなみに、上にソフビとかプラモとかが乗っかっていますが、特に意味はありません。ただでさえ不足している水平面を有効に活用した結果です。

このスピーカー、1本5kgくらいあるのでモニターと合わせてモニター台にかなりの荷重がかかっていることになります。実際中央が6%たわんでいます。割れたりヒビが入ったりしないように毎日お祈りをしています。

 

 

6.部屋全体について

スピーカーは空気の振動を励起し、部屋の中に様々な振動モードの定在波を生じさせます。また、壁や家具などから反射した音は直接くる音より遅れて耳に到達します。これらを完全に取り除く必要はないのですが、リスニングポイントにおける周波数特性に大きく影響する因子は取り除くに越したことはありません。僕はとりあえず、明らかに音を反射しまくりそうな鉄製のドアに吸音材っぽいものを貼ったり壁際に物をたくさん配置したりすることで、音の吸収や散乱に一役買わせたつもりになっています。また、窓ガラスもドアと同じく音を反射しまくりそうなので、カーテンは昼間もずっと閉めています。この辺の対策は実際どれほど効果があるのかよく分かりませんが、本やインターネットを参考にしながらできることは何でもやってみています。

 

 

7.今後の展望

引っ越しが遠くはないので、スピーカーなどの巨大な機器を買い替えるようなことはあまりしたくないです。先にちょっと書いたようにオーディオインターフェイスとイコライザ周りをもう少しなんとかしてやるのが予算的にも現実的な方針だと思っています。また、電源に交流安定化電源を導入するのをやってみたい気持ちがありますが、予算が莫大になるので当分かないっこありません。いずれにせよ音楽制作を趣味にしているという関係上、自分の好みの音を追求することよりも原音をいかに忠実に再現するかを優先して心を砕いていくという方向性がぶれることはないと思います。予算の問題とも一生戦い続けると思います。

 

 

8.参考にしている文献

読んだ本を何冊もピックアップするのはめんどくさいので、特に人におすすめしたい一冊を紹介します。実際この一冊で足りています。

 岡野邦彦:その常識は本当か これだけは知っておきたい 実用オーディオ学, コロナ社 (2019)

オーディオ愛好家でもある慶応大学理工学部の先生が、室内音響を中心にオーディオを楽しむための様々な工夫を科学的に説明された本です。電源の接続、機器同士の配線などはこの本の内容を大いに参考にしてセッティングしました。理系の総合読み物としても面白く、少なくともわざわざこんな記事を読むような人には絶対におすすめできます。

 

ICPC国内予選エアプ参加記

ICPCの国内予選がありましたね。僕はこれに参加していないので、エアプ参加記を書きます。大会形式すら知らないので完全にエアプです。

 

チームについて

 幼馴染のあおいちゃんと、サークルの先輩の黒子さんと僕の3人チームで出ました。

あおいちゃんは高校1年生のときに競技プログラミングを始め、練習サイトではユーザー名が青色になっています。髪の毛はショートで今は青いのですが、高校の頃は茶色とか緑とかに染めていた時期もありました。理由はよく分からないのですが、とにかく色が奇抜すぎるのであまりコメントしないようにしています。

黒子さんはいつから競技プログラミングを始めたのかよく分かりませんが、ユーザー名は黒色です。本人によると、黒子さんはユーザー名の色を自由に設定できるようになっているらしく、黒が好きなので黒にしているそうです。以前あおいちゃんに「君も自由に色を設定できるようにしないのか」と聞いてみたところ、嫌な顔をされてしまいました。女の子って難しいですね。

僕は今回あおいちゃんに誘われて初めて参加したので、競技プログラミングのことは正直ちょっとよく分からないです。一応プログラミングの経験はあり、あおいちゃんからは「最初の方の簡単な問題を解いてくれれば大丈夫だよ」と言われていました。

 

 

本番前

あおいちゃんが中心になってメンバーに声をかけ、1か月くらい前から週に1度3人で集まって過去問を使った練習をするようにしていました。しかし、黒子さんの生活習慣が不規則なせいで3人そろって練習できたことはほとんどなく、僕が1人で最初の1,2問を解いたらあおいちゃんに交代してもらって後はあおいちゃんが全部やる、という集まる意味のあまりなさそうな練習しかできていませんでした。しかも「同時にパソコンを使えるのは1人まで」という変わったルールのせいで、僕が解いている間あおいちゃんを待たせてしまうのを気にしてしまうくらいでした。

 

 

当日

 朝10時に会場前に集合だったのですが、前日の午後にかなり長い昼寝をしてしまったため全然眠れず、あおいちゃんが起こしに来てくれなければ寝坊してしまうところでした。朝ごはんにあおいちゃんから弁当のおかずの残りをちょっともらい、2人で会場に向かいました。僕たちは時間通りに会場についたのですが、黒子さんはやはり寝坊を決め込んでしまったらしく、連絡すらつきません。どうしようもないので、とりあえず2人で出つつ黒子さんが来るのを待つことにしました。

会場はチームごとに部屋が別々になっており、トイレ以外で部屋から出なければ声を出して話したり席を立ったり食事をとったりしても大丈夫とのことでした。机には人数分の椅子が用意されていて、パソコン1台と軽食が置いてありました。

 

 

本番

 問題はA問題からZ問題までの26問あり、これを10時間かけて解きます。最初の数問は難易度順に並んでいて、僕は過去問の傾向からA問題とB問題を順番に解きました。どちらも1回の提出で正解判定をもらえたので安心しました。あおいちゃんと席を交代し、あおいちゃんがC問題からE問題までをサクサクと解いていきました。あおいちゃんは提出した問題の判定結果を見ずに次の問題の提出コードを書き始めていて、慣れている人は違うなあと思いました。

F問題から先は、E問題までより難しいような問題が難易度に関係なくランダムに並んでいるらしく、あおいちゃんは画面に表示されている順位表と印刷した問題用紙をにらめっこしながらどれを解こうかと考えているみたいでした。僕はもう用がなさそうなので席を立って部屋をウロウロしようとしましたが、あおいちゃんから「ちゃんと席に座って椅子を温めるように」という旨の注意をされてしまいました。僕はとっさに機転を利かせて、まだ来ていない黒子さんの椅子の座面にパソコン本体を置いてみました。効果はてきめんで、あおいちゃんに褒められました。

開始から1時間ほどして、M問題とG問題の考察が終わったらしく、あおいちゃんによると実装も簡単らしいので、僕に実装してみないかと提案してくれました。どちらも自分には不相応な難易度の問題ですが、あおいちゃんの説明を聞くと確かに実装はできそうだったので挑戦してみたところ、どちらも正解判定をもらうことができたので、あおいちゃんとハイタッチして喜びあいました。チーム戦っていいですね。ちなみに黒子さんはまだ来ていません。

 

その後2,3時間、あおいちゃんも粘り続け僕も椅子を温め続けで何とか半分ほど解くことができましたが、残った問題は難問ぞろいでなかなか手が付けられそうにありませんでした。気が付くとかなりおなかがすいていたので、休憩ということで2人であおいちゃんの手作り弁当を食べることにました。あおいちゃんの弁当は高校のころは毎日食べていましたが、大学に入ってからは時間割も全く違うため食べる機会はまれでした。とてもおいしくて大好きなので本当は毎日でも食べたいのですが、照れくさくてなかなか言い出せません。不用意においしいとか言うとあおいちゃんがすぐ調子に乗るのもあって、高校のころは「可もなく不可もない」に近い意味の類語表現をたくさん覚えて使い回すようにしていました。

でも久しぶりに食べたあおいちゃんの手作り弁当は本当においしかったので、思わず「すごくおいしい」と言ってしまいました。案の定あおいちゃんは有頂天になり、その勢いで食べながら2問くらい解いてしまいました。実にコンテスト開始5時間後のことでした。

 残り5時間であと10問になりました。窓から差し込む日の光も傾き始め、30分に2問解かないと全問解けないという難易度にマッチしない絶望的なペースも相まって、2人に焦りが出てきます。あおいちゃんは問題用紙と一層真剣ににらめっこするようになり、僕も尻に力を入れて椅子が少しでもより効率的に温まるようにと踏ん張りました。しかし、既に手のつけようもない問題しか残っておらず、完全に膠着してしまいます。順位表を見ても、この10問は最上位層にもほとんど解かれておらず、あおいちゃんが解くには難しそうでした。また、自分たちのチームが解いた問題はやはり多くのチームに解かれているため、全体順位も決して高くありません。

 

そのまま30分が経ち、僕が「そういえば黒子さんまだだね」と言いかけた瞬間、いきなり部屋のドアが勢いよく開き、全身黒のいつものスタイルでまさかの黒子さんが登場しました! そのショックであおいちゃんがついにショートしてしまいました。黒子さんは、僕たちの耳に届くことなく天井まで浮き上がってしまうくらい軽い謝罪の台詞を口にしたあと、より温かそうな僕の椅子を奪ってパソコンの前に陣取りました。そしてまだのびているあおいちゃんの手からくだんの10問の問題用紙をひったくり、適当な順番にシャッフルして(後日聞いた話によると適当にシャッフルしたのではなく瞬時に判断しつつ難易度順にソートしたそうです)、一番上になった問題から順番にバチバチと提出コードを打ち始めました。黒子さんは僕があおいちゃんの背中を揺すったりおでこを冷やしたりしている間に「はいA~C~」とか意味の分からない(問題に正解したという意味だそうです)言葉を連発し続け、一時間後にはなんと暫定1位に躍り出てしまいました! そしてそれを知ったあおいちゃんがまた気を失うことになりました。

 その後の黒子さんは、提出コードを書き溜めておいて2位のチームが1問解くたびにこちらも1問通すという嫌がらせみたいなことを続け、残り30分になって順位表が凍結されるとその瞬間に残りの問題を一斉に通すというかなり陰湿なことをしました。2位のチームさんごめんなさい。予選通過枠は複数あるみたいなので、世界大会でがんばってください。

 あと、あおいちゃん。本当にお疲れさま。黒子さんはすごいけどダメ。

 

 

結果

本番の様子から察しはついていると思いますが・・・・・・

   国内予選1位通過

 です! 世界大会でもよろしくお願いします!

 

 

 

書いた感想

3人チームで出るってことしかよく分かってませんでした。競プロに真剣でなくてすみません......

 

追記(2021/3/17)

なんとこの参加記に続編が出ました......(は!?)よんでね!

ICPC決勝空気演奏参加記2 - よこのブログ

 

ウルトラマンがすぐ光線を撃たない理由

ウルトラマンはなぜ変身直後に必殺の光線を撃って怪獣や宇宙人をやっつけることをせず、わりと制限時間いっぱいまで戦ってから光線を撃つのでしょうか?僕がまだ小さかったころに親しんでいたウルトラ作品を最近になってぽつぽつ見返すようになった今、考えたことがあります。それは、

 

ウルトラマンは敵と複数回接触して倒すのに最適な光線の性質を決定してから撃っている

 

ということです。この仮説について詳しく説明したいと思います。

 

 

御存じの通り、ウルトラマンは悪の怪獣や宇宙人から人類を守ってくれる正義のヒーローです。その戦う相手は地球に元々いた怪獣だけでなく、宇宙からやってきたり、変わった武器を持っていたり、未知の元素でできていたり、異次元に住んでいたりと様々です。戦う場所だって地上や空中はもちろんのこと、水中や宇宙空間、はては異次元空間、さらにはもはや現実世界ではなく誰かが作った物語の世界などで戦わされることだってあります。本当に毎週お疲れ様って感じです。

 

そんな数限りない種類の相手・数限りない種類の戦場の全てで敵を倒すことができる全く同一の光線なんてあるはずがありません。きっと同一の技名ながら撃つ相手によって波長スペクトルや一緒に飛び出しているかもしれない物質の配合などを色々と調整しているのでしょう。しかし、流石のウルトラマンも、初めて戦う相手を見ただけで最適な光線の成分を決めることはできません。相手の体表がどんな物質でできているかは、実際に接触しないと分からないでしょう。それなら適当に敵の表面をタッチするだけで良いではないか、という意見もあると思います。しかし、その触る行為がちゃんとパンチやキックなどの戦闘動作でなければならない理由が3つあります。

 

第一に、ウルトラマンが怪獣や宇宙人を触るのは、僕たちが動物園でうさぎの羽毛をサワサワするのとは訳が違います。相手は人類やウルトラマンに対して明確に敵意を持っている場合がほとんどです。気安く体を触ることは難しいはずです。ならば力ずくでも触りに行くしかありません。それがパンチやキックなどの戦闘動作となって表れているのです。

 

第二に、対象を強打することによって表面の弾性や、場合によっては内部の様子も知ることができます。優しくそっと触っただけでは、その表面がどのくらいの強さで凹むのかが分かりません。また、柔らかそうな部分に強めのパンチをしたのに中に固そうな手ごたえがあった場合、「オッ、コイツ見た目はフニャフニャだけど中の組織はかなり頑丈なんじゃないか」というように分かります。また、相手の体表が強い衝撃に反応して瞬間的に固くなる防弾チョッキのような性質を持っている場合にも、気づくことができます。

 

第三に、相手の運動能力を知ることができます。敵を倒すのに最適な光線の成分が決まっていざ発射したところで、実は相手がかなりすばしっこいヤツであっさりかわされてしまった、となったら大変です。そこで、相手の敏捷性などをチェックするためにパンチやキックなどの相手に体を激しく動かす必要を生じさせる動作を繰り出しているのです。

 

ウルトラマンが時間いっぱいまで戦っている理由も説明できます。相手の体表がもし時間によって変化する性質を持っていたらどうでしょう。せっかくの光線も変化した相手の体表に弾かれてしまってパーになるかもしれません。一度接触してからさらに時間を空けて接触することで、自らの解析に間違いがないことを確かめる必要があります。

 

また、今まで戦ってきた敵が実は悪いやつではなく倒す必要がないことが、戦っているうちに判明することもあるかもしれません。「その怪獣を殺さないで」と、その怪獣と仲の良かった少年がウルトラマンに訴えかけてくるケースもあります。なるべく時間をかけて怪獣や宇宙人の相手をすることで、倒す必要のないものを倒してしまうという悲劇を防ぐ効果もあるのです。これは敵に対して「執行猶予」を与える、ウルトラマンの優しさともとれます。

 

このように、「ウルトラマンは敵と戦闘動作を通して接触することで敵を倒すための光線の成分を決定している」と考えることでウルトラマンの変身後の行動について理解を深めることができます。ちなみに胸のタイマーが単に制限時間を示すものではなく、自身の残りエネルギーと光線の成分の決まり具合がちょうどいい塩梅になった「撃ちどき」を示すものと考えれば、点滅するまでの時間や点滅してからの時間にバラつきがあるのも納得がいくと思いませんか?

 

しかし、今したような説明を番組で毎回するのは長いので、「ウルトラマンは地球上で3分しか戦えない!胸のタイマーが鳴ったら必殺技でやっつけろ!」という趣旨の、子供にも分かりやすい説明がなされているのだと思います。

合格体験記

(1年前に書いた合格体験記に予想以上の反響があったため、いつでも見られるようにこのような形で残しておきます。以下本文です。)

【はじめに】
3年の秋に竸技プログラミングの大会があり、本格的に受験勉強を始めたのが11月と、とても遅いスタートを切りました。短期決戦を仕掛けたため余計な勉強はできず、ほぼ過去問だけの最短ルートだったと思います。この体験記が、これから受験を控える皆さんにとって微塵でも参考になれば嬉しいです。

【進路の決定】
1年生の頃は、初年次から専門分野を学べる東京工業大学を志望していました。しかし、東京大学が、総合大学で幅広い分野の先生が揃っていること、そして何よりも各種科学オリンピックで知り合った仲間たちがことごとく志望していることから、東京大学を受験することにしました。

【学習法】
国語…予習に丁寧に取り組み、集中して授業を聞き、真面目に課題をやっていました。周りにはサボっている人も多かったようですが、自分は苦手意識が取れず、かつ先生が怖いという理由もあって比較的真面目に取り組みました。古文漢文は文法や句形などの基本を早いうち、できれば1年生のうちに固めるべきです。現代文の添削について、本格的に添削をお願いしたのはセンター試験後からですが、自分の答案に対して先生から一つずつアドバイスを受けられるので、とても良い機会でした。添削を出すたびに答案のマルが増えていくのも、モチベーション維持に一役買いました。

数学…校内では得意な方でした。数学が好きで数学部員だったこともあり、1年生のうちに頑張って数学Ⅲの教科書を大体終えました。授業でまだ扱っていなかった分野の演習は教科書の練習問題→1対1例題の順で解いていました。2年生中盤からは、課題はやらず、授業は大事そうな部分だけ聞き、前述の1対1や月刊「大学への数学」の「学力コンテスト」の問題を解いていました。青チャートなどの網羅系参考書は好きになれず、1年生の頃を除いてほとんど取り組みませんでした。これが災いして、ごく稀にテストで典型問題が解けないということがありましたが、このスタイルで楽しく数学と向き合えていたので良しとしました。
数学を考えるときは字を大きく書きました。数学では定積分や数列の計算など小さな添字を多用するため、書く字は大きければ大きいほど良いと思っていて、積分1つにノート1ページを使っていたときもありました。また、自信がないときは勝手に字が小さくなるので、自分で自分を見ていて面白いです。
受験勉強においては、東京大学は年々易化傾向にあったため、「過去問のA,B問題ばかりを演習する」という戦略を立てました。また、確率や複素数平面などの苦手意識のある分野に関しては、先生に問題を選んでもらい、それを解いて頭を作りました。過去問添削が始まってからは、先生方に年度ごとに見ていただけるので、「制限時間内で解ける問題を見定めて確実に解く」という方向性で取り組みました。

英語…1年生の頃は予習、授業、課題、小テストに一生懸命取り組みました。「1年生のうちに英語の基礎力をつけろ」とはよく言われますがこれは本当で、2,3年生での英語学習を効果的に進められます。3年生になると部活動が忙しくなり、予習と小テストと課題を疎かにしましたが、授業だけはしっかり聞いていました。授業大事です。
東京大学の英語は時間との闘いのようなところがあり、120分で120点満点なので、基本1分に1点のペースで解いていきます。解く順番も人によって色々いじるみたいです。リスニングが苦手で、センター演習で何とかしようとしましたが、何とかなったようでどうにもなりませんでした。やはり日頃から英語を聞く習慣をつけておくべきでした。東京大学のリスニングは自分にはとても難しいものがあり、半分を超えれば良し、と割り切っていました。読解も苦手で、要約、段落整序、長文では苦労しました。二次試験直前の1週間で、思い立って要約問題だけを十数年分解いたところ、要約文と読解力がマシになった気がします。自由英作文は好きでした。書きたい内容を英語にしやすい日本語に置き換える作業にパズルのような楽しさがありました。中学3年生でもわかるような簡単な英語を念頭におくと書きやすいと思います。無理して難しい単語を入れようとしたり、複雑な構文を使おうとしたりする必要はないはずです。

物理…1年生の頃はなぜか物理基礎が全くできず、体育、現代文と並ぶ3大苦手教科でした。それでも1年間テスト期間などを利用し地道に課題をこなしてきた結果、2年生では良いスタートを切ることができました。それからは授業とテストの課題を中心に学習していました。課題は1周だけやっていました。結局「名門の森」などの有名参考書は買わず、教科書、センサー、たまに重要問題集でなんとかなりました。物理の問題を解くときは、どんな問題であれノートにページの半分が埋まるほどの巨大な図を描きました。計算式も数学と同様大きく書きました。それがよかったのかどうなのか、物理は得意教科になりました。
ところが、2年生の3月に「科学の甲子園」に参加したところ、物理の難しい筆記問題に手も足も出ず、非常に悔しい思いをしました。そのうえ、国際物理オリンピックの連続金メダリストに圧倒的な物理力を見せつけられ、劣等感に苦しみました。そこで、彼らに少しでも追いつこうと、「物理チャレンジ独習ガイド」という参考書で微積分の言葉で物理を学び直しました。さらに3年生の夏休みには「200 Puzzling Physics Problems」という洋書の問題集を1周し、8月末に参加する物理チャレンジ本選の過去問にも数年分取り組みました。結果、物理が大好きになり、今に至っています。彼らにはまだまだ到底及ぶものではありませんが、物理の理解も深まり、実力もある程度ついたと思っています。物理の発展的な内容に触れたい人には、あくまで一例ですがこのような勉強法を強くお勧めします。
受験勉強においては、過去問添削に取り組みました。東京大学の物理は比較的簡単だとは言われていますが、実際は制限時間やミスとの闘いであり、かなり苦しいものがありました。「東京大学の物理は解きごたえがあって楽しい」などという御仁もいらっしゃるようですが、夏休みにやった物理の方がよっぽど楽しく、受験物理ははっきり言って大嫌いです。皆さんには受験物理のせいで物理そのものまで嫌いにならないでほしいです。

化学…物理の方が好きだったため、化学の課題にはほとんど取り組んでいませんでした。そのため化学は苦手でした。しかし冬休みに教科書で無機を覚え始めると、今まであてずっぽうだったイオンや沈殿の色の問題がわかるようになり、「やればできるじゃん」という認識を得ました。それがきっかけで他の分野にも手を出すようになり、少しずつ解ける問題が増えていきました。過去問添削が始まると、先生が自分の答案用紙を見ながら一問一問について解説やアドバイスをして下さるため、非常にためになりました。理論化学など最後の最後まで難しいと感じていましたが、添削指導のおかげで物理と比べても遜色のないくらいの点数を取れるようになりました。無機分野に関しては、添削の先生に「化学の新研究」を一読するよう勧められました。新研究からは複雑な思考をショートカットできるような知識が多く得られ、役に立ちました。

地理…授業を聞いていました。課題はやったりやらなかったりしました。案の定点数が良くなく、マーク模試の点数も伸び悩んでいましたが、冬休みに5回分のセンター問題集を1周したのが良く、9割前後で安定した点数を取れるようになりました。自己採点をして解説を読むと、自分の知らなかった知識に数多く出会います。それを、くだらんと思うことでも余さずA3の紙に全て書き留めておきました。1回分で一面が埋まるほどの量でしたが、その知識がそのまま次の演習で活きるのでみるみる点数が上がりました。直前のたたき上げにはおすすめの方法です。
また、純粋な興味から2年生のときに地学を独学しました。地学と地理は2,3割が共通していると言われています。特にプレートや地震、気象や海流の話については、地理でやるよりも深い理解を得られるので良いですが、センター試験の点数に直接結びつくかと言われると、そこまで重要でもないようです。結論として、普通に地理をやれば大丈夫です。

センター試験
マーク模試で安定して9割前後を維持できていたため、本格的にセンター対策を始めたのは冬休みと遅めです。苦手な国語と地理と化学を中心に過去問や予想問題で演習しました。数学と物理は記述型問題を解き続けました。当日は、会場が学校の教室のような環境だったためかあまり緊張せず、落ち着いて受験することができました。試験官も優しそうな方で、たまに笑顔を見せるなどしていて幾分安心しました。休憩中も同じ学校の人と弁当を食べてリラックスできました。

【個別試験】
対策は上述の通り過去問添削が中心です。過去問を解くときは、なるべく本番と同じ解答用紙に、そして必ず時間を計って解きました。特に東京大学は、国語の記述解答欄の1行に2行書いてはならず、理科も解答欄を自分でレイアウトしなければならないなど、慣れが必要です。数学でも、記述できるスペースは決まっており、そこに収めなければなりません。そのため国語と理系教科についてはノートを一切作らず、すべて解答用紙のコピーに書いていました。時間を計るのは言うまでもありませんが、集中して取り組むためにも良い方法だと思います。
本番では2日前の夕方に東京に着き、前日の朝に本番と同じ時間で下見をしました。ホテルは、会場に近いところを1年前から予約してありました。当日は正門の人混みを避けて2日間とも裏の門から入りましたが、これが非常に空いていて、普段高校に通うようなのんびりとした雰囲気のなか試験場に入ることができました。これは極秘情報ですが、龍岡門入ってすぐ右のローソン店内の左奥には小さなイートイン・スペースがあり、そこで座って勉強することができます。静かで暖房も効いており、正門前の寒い喧騒よりも圧倒的に良い環境で最後の見直しができ、周りの受験生と差をつけられます。それもあってか本番は始終落ち着いて受験することができました。また、昼休みには安田講堂の前で各種科学オリンピックなどで知り合った仲間たちや、Twitterのフォロワーさんたちとエンカウントし、談笑、記念撮影など楽しい時間を過ごすことができました。試験本番は非日常的な体験であり、そうであるならば楽しむことができます。周りの雰囲気に流されずに「本番は楽しい!」と思うことができれば、受かったも同然だと思います。

【終わりに】
受験で大事なのは「戦略」と「対策」です。愚直に勉強してはいけません。自分は何のどの部分が分からないか、苦手な分野はどこの何か、正確に自分の現状を把握することが大切です。例えば、大雑把に「この問題の解説わからーん」などと言っていてはいっこうに解決せず、「自分は解説の何行目のどこから分からなくなっているか」をまず知るべきなのです。そうして自分の現状を把握したら、それを改善するには何ができるか、どうしたら良いか戦略を練ることです。これは先生方に聞くのがベストだと思います。戦略を与えてくれる先生方がいらっしゃる環境が進学校の強みの一つだと思います。戦略が立ったら、それに基づいて対策するだけです。辛いときもあるでしょうが、地道にコツコツやることです。「俺/私は絶対〇〇大学に合格するんだ!!」という燃えるような熱い思いは必ずしも必要ありません。焦らず淡々と努力するだけです。受験勉強が「時間内に答案用紙という名の書類を作成する作業」のように思えてくるくらい地味にやってもらって構いません。諦めず、最後まで無理なく勉強を続けましょう。
最後になりますが、皆さんが各々の目標に向かって努力され、見事達成されることを願ってこの体験記を締めくくります。健闘を祈ります。ありがとうございました。